事務所通信 平成20年5号掲載
取扱高=売上高? 
 先日、ある団体の講演会に参加してきました。講師はスズキ株式会社(アルト等の車両バイクの製造販売会社)の代表取締役会長兼CEOの鈴木修氏です。
 とにかく仕事人間で「経営者は一生働きなさい。死ねば永遠の有給休暇がとれる。」といって聴衆を沸かせていました。
 その後、自社の商売について話されましたが、それが標題です。スズキでは売上高が3兆円強ですが、タイヤ4本つけても、その工賃は1本100円位でしかなく、タイヤの値段が1本5,000円とすると車両価額に反映される金額は、20,400円となるが、タイヤメーカーへの支払が20,000円発生し、儲けは400円でしかなくなるということでした。電装部品しかり、一事が万事こういうことで車両価額が構成されており、決算書の売上高は3.5兆円となっていてもそれは取扱高というべきで、自社で生み出す付加価値は3,500億円程度とのことでした。また、仮に年間300万台生産し、売上高3兆円とすると、3兆円÷300万台=100万円/1台売上となり、900億円経常利益とすると900億円÷300万台=3万円/1台利益となり、1台あたり2万点の部品を使用しているので、3万円÷2万点=1.5円/1点当たり利益となるということでした。
 要するに売上高が多いといっても、1台当たりの利益は僅かであり、その利益を構成する部品1点当たりに直すと僅か1.5円となり、仕入管理、付加価値創造等を怠るとあっという間に利益は吹き飛ぶと言うことを伝えたかったのではないかと思います。
 一方、我々中小企業はどうでしょうか?頭では解っていてもここまで徹底して日頃の業務にあたっているでしょうか?
原材料等が値上がりしている昨今、考えさせられる内容でした。

 
所 長  須 田 幸 英
事務所通信 5月号掲載
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